映画「アメリカン・スナイパー」 まだ評価がありません

アメリカンスナイパー

2015年に日本公開(アメリカでは2014年公開)された、
クリント・イーストウッド監督作品の映画。

2015年アカデミー賞にて、6部門にノミネートし、
結果「音響編集賞」を受賞。

実在する、伝説的スナイパー「クリス・カイル」の半生を描いた、真実に基づく物語。

圧倒的な評価に反し、“戦争賛美”など批判的な意見も出ていた作品であるが、
果たしてこの映画で訴えかけているものとは何か・・・・・・。

-----スポンサーリンク-----

アメリカンスナイパーのあらすじ

イラク戦争に出征した、アメリカ海軍特殊部隊ネイビーシールズの隊員
クリス・カイル(ブラッドリー・クーパー)。

スナイパーである彼は、「誰一人残さない」という
ネイビーシールズのモットーに従うようにして仲間たちを徹底的に援護する。

人並み外れた狙撃の精度からレジェンドと称されるが、
その一方で反乱軍に賞金を懸けられてしまう。

故郷に残した家族を思いながら、
スコープをのぞき、引き金を引き、敵の命を奪っていくクリス。

4回にわたってイラクに送られた彼は、心に深い傷を負ってしまう。

◆引用:シネマトゥデイ

アメリカンスナイパーの評価・感想(ネタバレあり)

2014年の後半あたりから、
劇場で映画を見るたびにこの作品の予告(上記予告動画と同じ)が流れ、
どんな作品なんだろう・・・?と興味を覚えながら、
公開後に劇場に足を運んだのを今でも覚えています。

アメリカのネイビーシールズ(アメリカ海軍の特殊部隊)に所属した、
伝説的なスナイパー、クリス・カイルの自伝小説を基に、
映画化されたのが本作ですが、作品が製作されるまでには、
様々な紆余曲折があり、その辺りはBDソフトに収録されていた
メイキングでのスタッフインタビューで語られています。

今回、この感想を書くに当たり、映画本編を見直し、
メイキング映像まで一気に鑑賞しましたが、
改めて凄い作品だったな、と思わずにはおれませんでした。

実在の英雄、クリスカイルの葛藤

作品は、イラク戦争に4回派遣され、通算で160人以上を射殺し、
敵国から賞金まで懸けられる事になった、
伝説的英雄、クリス・カイルがどんな人物であったか、
という主軸において描かれた作品ですが、
戦争映画という括りにもなるだけに、
本編の半分以上は戦場での悲惨な実情が描かれています。

予告編冒頭にも映し出されていた、
イラン人の母子が、対戦車手榴弾を持ち、
部隊に向かって走り出そうとしているシーンで、
主人公のクリス(ブラッドリー・クーパー)が銃を撃つかどうか、
と判断に迷うシーンが描かれていますが、
結果クリスは子供、そして母親を射殺します。

その射撃は、クリスがイランに最初に派遣され、一番最初に行った狙撃でした。

生きた人間を撃つという行為が、こんなにも後味が悪い物だったのか・・・、
とクリスは苦悩します。

海兵隊の仲間を守るため・・・、
その後も敵国側の相手をつぎつぎと射殺していき、
何時しかクリスは、海兵隊の皆から、英雄視されていきます。

最初の派遣から約6週間後、アメリカ本土に戻り、
妻タヤ(シエナ・ミラー)と再会を果たしますが、今一つスッキリとしません。

二度、三度とイランに派遣され、戦場を渡り歩く中で、
彼の心がどんどん渇き、荒んでいく様子が描かれていきます。

特に、三度目の派遣の際には、
初めて自分たちの仲間、シールズからも犠牲者が出てしまい、
仲間を救えなかったという後悔の念が、強く心に残ります。

アメリカで家族達と日常を過ごしていても、
心は戦場に置き忘れてしまったような感覚・・・、
タヤにそう指摘され、思わず反論できなかった自分の心情は、
彼女の台詞を自ら肯定しているのと同じでした。

そして、四度目の派遣で、過去に何度も煮え湯を飲まされてきた、
敵国側のスナイパー、ムスタファを自らのスコープに捉え、
遂に射殺し終えた時には、自身の胸に支えていた物がようやく抜け落ち、
家族の待つ家へ帰ろう・・・、もうシールズを除隊してこの世界から足を洗おう・・・と、
ようやく決意出来る心情へと至ります。

除隊後のクリス

物語はここで終わりではなく、彼が除隊し、
アメリカへ帰国した後の姿も描いています。

そこでは、同じ退役軍人達と語らい、
心や身体に傷を負った者達と交流していく姿、
そして、なかなか得られなかった家族との交流が映し出されていました。

ここでのポイントは、英雄と評されたクリスでしたが、
彼は決してそのような立場を望み、またおごったりする事もなく、
ただ祖国のため、愛する仲間達を救うため、
その結果の上で今の自分がある、という姿勢を貫いている点です。

もともと、彼が軍属を志した理由は、TVに映し出されたテロの映像を見て、
自分にも何か出来る事はないか、という意志からでした。

その正義感溢れる気持ちは決して揺るがず、
ある意味自己犠牲的なまでに事態に当たっていった、
そんな風にも見えました。

メッセージ性を考察

また、イーストウッド監督自身、この映画で描きたかった物は、
戦争と言う悲惨な事柄は、戦場に赴いた兵士、
そしてその家族すらも犠牲を強いるという、
過酷で残酷な事だというメッセージでした。

最初でも書いた、「戦争賛美」等と言う評価が出ているというのは、
この映画の本質が見えていない、そう思わずにはおれません。

確かに、イラン戦争でアメリカ軍が行動した姿は、
アメリカの正義を指し示したもの、そう受け取れる部分もあるかもしれません。

しかし、クリス・カイルと言う人物の目を通して映し出された光景は、
決してそんな物ではなく、戦場では例え子供であっても、
被害者だけなく被疑者にもなりえる悲惨な現場だと、
そう訴えかけている様に感じました。

実際、R15指定という事もあり、人が無残に死ぬシーンは多岐に渡り、
特に子供が死に絡む描写も何度も出てきます。

戦争体験をしていない、特に今の日本の戦後生まれの自分達は、
徴兵制度等がない分、戦場の悲惨さと言うのを殆ど知りません・・・・・・。

それだけに、この映画が訴えているメッセージ性を理解し、
戦争と言う悲惨なる事柄に目を向けるという事を忘れてはならない、そう思います。

最後まで映画を見て、自然と頬を涙が伝って行きました・・・、
これは初めて劇場で見た時も、改めてBDソフトを見直した時も、
変わる事はありませんでした。

2015年は、通算で20本前後の映画を鑑賞したように記憶していますが、
その中でも1、2位を争うぐらい、自分の心に強く訴えかけた作品でもありましたので、
この作品の評価は、文句なしの5.0とさせて頂きたいと思います。

読者さんの評判・口コミ

コメントを残す

サブコンテンツ

このページの先頭へ