映画「ブルーに生まれついて」 まだ評価がありません

ブルーに生まれついて

1950年代に活躍した、ジャズトランペッターでボーカリストである
チェット・ベイカーの挫折から復活までを追った伝記映画。

主演のイーサン・ホークは
半年間トランペットの猛特訓を受けて撮影に臨んだといいます。

原題は『BORN TO BE BLUE』・・・彼の曲のタイトルです。

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ブルーに生まれついてのあらすじ

1950年代のニューヨーク。

ジャズ界は黒人が中心に活躍していた。

白人で甘いマスクのチェット・ベイカーは異質であったが、
むしろそれがウケた要因でもあり(もちろん実力もあり)一躍スターの座へのぼりつめた。

時の大スター マイルス・デイビスをも凌ぐ人気だった。

ヘロインに溺れ、問題を度々起こしていた彼は
公演先のイタリアで投獄される。

帰国後、麻薬の売人から「ツケを払ってない」と暴行を受け
顎を砕かれ、前歯を失ってしまう。

トランペッターとしての終焉をむかえたか・・・
に思われていたその頃、映画の共演で知り合った

ジェーン(カルメン・イジョゴ)を愛し始めていた彼は
彼女を心の支えに、ドラッグを絶ち復活を目指すようになる。

かつての有名スターには小さ過ぎるステージに立ち
アルバイトをしながら、彼女の車で同居という生活。

そんな日々の中、かつてのブレーンたちの計らいで
再びニューヨークの名店“バードランド”の舞台出演が決まる。

楽屋で一人、プレッシャーに押しつぶされそうになるチェット。

ステージに立つことはできるのだろうか。

ブルーに生まれついての評価・感想

チェット・ベイカーのことは、そんなによく知らなくて観ました。

曲は有名なので聞いたことがある程度です。

甘い声に、あたたかく包み込むようなトランペットの音色。

とても優しくてアンニュイな雰囲気を持っています。

それが、こんなにも激しい人生を生きた人の演奏だったとは
驚きです。

事実と比べ美化され過ぎている

コレ“伝記映画”という謳い文句ですがキレイに作りすぎですね。

実際のチェット・ベイカーはかなりの悪童だったということですよ。

ジェイムズ・ギャビン氏著の『終わりなき闇 チェット・ベイカーのすべて』では
彼の人生が語られています。

金は盗むか、女から巻き上げるか
即金払いのライブやレコーディング
ヤクが切れたらライブはドタキャン
果てには、大事なトランペットさえ質に入れたのですから。

クスリは生涯止められず、麻薬のためなら何でもやる人生・・・

映画に登場する恋人ジェーンのような存在も実在していなかったようです。

彼女のためにクスリを止める、なーんてありえないことです。

だって、付き合った女はみんなクスリ漬けにするのが史実ですから。

そんな、ダメダメなジャンキー人生を美化し
フィクションを加えて出来上がったのが本作です。

オブラートに包んで・・・ってオブラート分厚すぎ!

イーサン・ホークは素晴らしい

そんな中、今作で絶賛されるべきはイーサン・ホークです。

終始にわたりメランコリックで、弱々しくてそして強がりで
母性本能を完全にワシヅカミするってこういうヤツですわ。

いくら練習したとはいえ
本物の音源と聴き比べたりしたら全然違うのはバレバレですけど
彼の奏でる『マイ・ファニー・バレンタイン』を聴いたら
ココロ射抜かれますよ。

映画の中での、復活のきっかけになった演奏シーンがあって・・・
曲は『虹の彼方に』ですけれども
演奏を聴いて
「技術の衰えが逆に味になっている 昔より深みが増した」
と、プロデューサーに言わしめたのは
もうそこはチェット・ベイカーではなくイーサン・ホークなんです。

こういう伝記映画は、リアリティを追求するだけじゃなく
秀でた才能の持ち主である人物の、その部分をピックアップして
それを演じきれる役者を配し
その環境を作ってこそ成り立つんだと思わせられましたね。

前半に書きましたが、本人の本当の人生
暴力とクスリと嘘だらけで塗り固められたバックグラウンド
それをわかっていてもなお、本気で落ちます・・イーサン・ホークに。

ワケのわからない“美しい痛み”が胸に差し込むんです。

イーサンの演技は素晴らしい!

イーサン・ホークは壮絶なチェット・ベイカーの人生を知り
敢えて仮面の下に隠れている人間の姿を演じたいと思ったそうです。

“彼を愛した”とも言っています。

チェット・ベイカー本人は、一生涯麻薬での問題を繰り返し
母国アメリカを嫌い、後に移り住んだヨーロッパ
アムステルダムのホテルで転落死という最後をむかえています。

原因は不明。

音楽を愛しすぎたからこその悲劇かもしれません。

主観的評価は 5段階で星5つです! ☆☆☆☆☆

チェット・ベイカーを知らなくていい。

彼の曲を知らなくていい。

イーサン・ホークを知らなくていい。

この映画で知れば充分です。

誰もが聞いたら忘れられない彼の音と声に酔えます。

そして、彼が吹き終わりに指で口を拭う仕草に注目してください。

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