この世界の片隅に【ネタバレ】

2016年11月12日に初め国内63館で封切られたてのですが、公開する映画館が急速に拡大してゆき、一時は累計400館以上となり、また、話題が話題を呼び、上映が500日以上も続いたという驚異のロングランとなったアニメ映画「この世界の片隅に」

そして、第40回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞するなど、数々の賞を受賞し、また、世界60か国以上でも上映されているこの「この世界の片隅に」は、一般から寄付を募るクラウドファンディングで資金を調達し、約6年の歳月をかけて制作され、その実験的な表現手法も含め、高い評価を受けています。

また、世界60以上の国と地域で上映され、そこでも高い評価を受けています。

そして、目標の興行収入を大きく超えたために長尺版の政策がすすめられていて、それは2018年末ごろに上映予定です。

本記事はネタバレ・結末を含んでいますので、ご覧になる際はご注意ください。

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序:海苔を広島の市街地に届けるすず

時は1908年12月のことです。

「うちはぼーっとした子じゃあ言われとって」とすず(声:のん=「(能年玲奈」)の独白で始まる「この世界の片隅に」は、徹底して庶民の日常生活に寄り添った世界が繰り広げられてゆきます。

船頭が、すずに「おーい、どこいくんじゃ」と声をかけ、その船に乗り、「中島本町のふたばまで海苔を届けるのです」と船頭に挨拶をするすずは、なんとも可愛らしい少女なのでした。

海苔を届けた帰りに兄の要一(声:大森夏向)と妹のすみ(声:潘めぐみ)にお小遣いでお土産を買って帰るのを、持ってきた小銭を手に出して色々と考え、嬉しそうなすず。

「ぼーっとしとらんで」と船頭がいい、船着き場につき、お礼を言って船を降りるすずは、荷物を重そうに背負って広島の街のクリスマスの賑わいの中に溶け込んでゆきます。

当時の庶民の生活の様子が様々なところで丹念に描かれている「この世界の片隅に」は、すずが海苔を届け、駄菓子屋の前でチョコレート10銭、キャラメル大箱10銭、小箱5線、ヨーヨーは10銭とすずはあれこれと兄と妹のお土産に悩むにのでした。

そして、クリスマスでにぎわう街の様子が丹念に描かれています。

ここで、コトリンゴの歌う「悲しくてやりきれない」という歌で、「この世界の片隅に」の本編が始まります。

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起:すず、ばけもんにさらわれる

家に帰って、広島の街で起きた顛末を妹のすみに絵を描いて説明するすず。

すずは絵を描くのが大好きで、そして上手なのでした。

「こんとなおじさん出会うたん」とすずは、「ばけもん」の絵を描き始めます。

すず、広島の街で道に迷いばけもんのおじさんに拾われて、望遠鏡をのぞきながら、広島の街並みを見ていたのです。

「わあ、よう見えるね」

するとすずはばけもんが背負っていたかごにどさっと落っこちて、そこに一人の少年がいたのです。

少年の話によるとばけもんは人さらいで、すずたちはさらわれたのでした。

そんな時、すずは夕方には帰らんと行けなくて、それは鶏に餌をやるためと、なんとものんびりとしたやり取りなのです。

と、すずらの話を聞いていたばけもんが「わしも、わしも」といい、夜が来る前に帰らないとというのです。

そこで、すずは海苔に星と三日月の形の穴をあけて、それを望遠鏡に張り付けてばけもんに渡したのです。

それを覗いたばけもんはすぐさまいびきをかいてどさっと倒れて寝込んでしまうのでした。

夜が来たと勘違いしたばけもん。

少年はばけもんの晩御飯が亡くなって気の毒とキャラメルをばけもんの手に渡してゆくのです。

そして、「あんがとな、浦野すず」といって、いつの間にかすずの名前を知った少年はすずと別れたのです。

そのすずの絵を見て笑い転げるすみなのでした。

しかし、すずは、あの日のことはうちはぼーっとしているので夢に違いないと思うしかないのです。

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承:おばあちゃんの家に行ったり、水原に会ったり

10年8月

いつもと違う大潮の日、潮が引いた干潟を要一、すず、すみは草津のおばあちゃん(声:京田尚子)の家へと歩いて渡っています。

要一は「鬼いちゃん」と呼ばれていて、厳しい人で、おばあちゃんの家に向かう途中に、挨拶をすずらにきちんとするようにというのでした。

途中スイカの取り合いをしていたすずらは、おばあちゃんの家に着くとみんな泥だらけなのでした。

おばあちゃんは毎年すずらに新しい着物をそろえてくれています。

体を洗って新しい着物を着たすずは美しいのです。

買い物に行ってていた父と母がやってきて墓参りに出かけるすずたち一行。

墓参りから帰ってきて、大人たちは大人の話をしていて、すずらは別の部屋で川の字になって昼寝をしていたのですが、要一の寝相が悪くてすずは目を覚ましてしまうのです。

「子供でいるのも悪うない。いろんなものが見えてくる」と独り言ちるすずは屋根裏から降りてきた座敷童を見てしまうのでした。

座敷童はすずらが食べ終わったスイカにかじりつくのです。

「こん……にちは」といって座敷童に挨拶をしたすずは、スイカを持ってくるといい、スイカを取りに行くのでした。

すずがスイカを持ってくると座敷童はもういないのでした。

「ほれ、潮が引いてきたぞ、ほれ」と昼寝をしている要一らを起こす父の十郎(声:小山剛志)。

「ほっときゃあ後で食べに来んさってよ」とおばあちゃんは言い、「うん、そしたら着物も置いとったら着に来てかねえ」とすずは言い、「すずちゃんは優しいねえ」とおばあちゃんは言い、着物をおばあちゃんの家に置いてゆくのでした。

「そいつは学校の先生が言っていた座敷童に違いない。お兄ちゃんがほう言うた夕方、景色も人も優しゅうかすんで見えた」とすずの独り言。

なんと詩情あふれることか。

このように、「この世界の片隅に」はすずに日常の美しさを語らせてゆくのです。

それは「この世界の片隅に」を単なる反戦映画とは一線を画すもので、徹底して市井の目で世界を捉えることに監督の片淵須直は、心血を注いでいます。

要一はすずがおばあちゃの家に着物を置いてきたのを「今から取ってこい、泳いで。ボケ」と怒鳴り散らし、その夜、すずは鬼いちゃんの絵を描くのでした。

13年2月

海苔梳きを手伝い、海苔を天日干ししているすず。すずは鉛筆が短くなり、母親に2銭もらって新しい鉛筆を買おうとするが、要一がそれを許さないのでした。

「お前がえつと落書きせにゃ済む話じゃろうが」と要一は言い、まったく取り合わないのです。

すずはすみに鉛筆の取り換えっこを言い出すのですが、すみもそれには取り合わないのでした。

学校で、すずは短い鉛筆をナイフで削り、苦笑いをするのでした。

学校から帰ると、すずは取って返す如くにこくばを取りに林へと向かうのです。

そこで、すずは絵を描いている水原 哲(声:小野大輔)に出会います。

水原は家に帰りたくなく、絵を描いてたいるのでした。

水原の家では海苔を摘んで、両親は飲んだくれ、そして、兄はすでに亡くなっていて、家にいるのが嫌なのです。

水原はすずに真新しい鉛筆を手渡すのでした。

「兄ちゃんのがようけえあるけん」という水原は海は嫌いでした。

海は兄の命を奪った場所なのです。

「海は嫌いじゃ。白波がウサギが跳ねよるみたいなが」と水原は言います。

途中から水原の絵をすずが描いていてそれが白波をウサギのように描き入れて仕上がりです。

絵が仕上がったために水原はいやいやながらも帰ってゆくのでした。

16年12月

真珠湾攻撃を伝えるラジオ。

「ばんざーい、ばんざーい、ばんざーい」と、庶民が真珠湾攻撃に大喜びだった史実をさりげなく入れています。

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転:すず、北條周作と結婚する

18年4月

すずはおばあちゃんのところで海苔を摘む手伝いをし、海苔を梳いている様子を見て、おばあちゃんは「う~ん、うもうなったねえ」とすずを誉めます。

そして、お昼の時間。

おばあちゃんが「箸を長く持つ子は遠くに嫁に行く」といい、それを聞いたすみは満州の人はみな長い、といいながら自分の箸を持ち替えます。

と、そのときにすずに呉からすずを嫁にという人が来ているから早く家に帰るようにと言われ、すずは急いで家に帰り支度をします。

その時すず、19歳。

おばあちゃんがすずの嫁入りの時のために着物を直しておいたのです。

そして、初夜の風習として相手が傘を一本持ってきたかといったならば、新(にい)のを一本持ってきたとすずが言い、そして、相手がさしてもいいかと聞いたならば、どうぞということをおばあちゃんはすずに教えます。

「うちは大人になるらしい」とすずの独白。

なかなか呉から来た人に会うのをためらい、林へと行くと、そこで水原に出会います。

水原は海軍に入り、その日は兄の七回忌に帰ってきていたのです。

すずはちらりとすずを嫁にという男性を見たとき、「口の中にキャラメルの味が広がる感じ」という感想を詩的に独白するすずなのです。

結局結婚することになったすず。

嫁ぎ先の母親は足が悪く臥せっていることが多いのでした。

すずの結婚相手の名前は北條周作。

結婚式後、二人きりとなったすずと周作。

すずは「うちらどこかで会いましたか」と以前に会ったことがあるように思えてならないのです。

周作は「うん、会うたで。あんたは覚えとらんか」と答えます。

そして、おばあちゃんが言った傘の話通りに周作が傘は持ってきたかと切り出します。

すずはおばあちゃんにいわれた通りに答えます。

何が行われるのかわかっていたすずは覚悟していたのですが、周作は軒先に干してあった干し柿を傘でとって、すずと一緒に食べるのでした。

すずは、周作が結婚式で何にも口にしていなかったのを見て、「この人、口から食べるのかね」と不思議に思っていたといい、和やかな笑いを誘うのでした。

そして、口づけを交わす二人。

翌朝、さっそく家事をするすず。

そんなすずは知人にはがきを出そうとするのですが、自分の嫁ぎ先の住所を知らないのでした。

義姉はモガ(モダンガール)だったことを聞きます。

その義姉の径子(声:尾身美詞)が晴美(声:稲葉菜月)を連れて里帰りしてきたのです。

嫁ぎ先で何かあったのか、すずに八つ当たりします。

そして、径子はお義母さんに愚痴を矢継ぎ早に言い募るのでした。

家事に取り掛かろうとするすずに代わって径子が家事を代わりにするのでした。径子はすずに禿ができていると指摘します。

すずは里帰りし、父親からもらったお小遣いでノートを買い、広島の街をスケッチしまくります。

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19年4月

径子は実家にずっといるのでした。

そんな中、すずは元気がありません。

段々畑でぼんやりしているすずのもとに周作が帰ってきます。

しかし、すずは何やら周作に不満があるようなのです。

周作に対して駄々をこねるすずは、しかし、段々畑から一段ずり落ちます。

すずを助けようと周作もずり落ちます。

大丈夫か、という周作に対してなおも、不満げに接するすず。

周作には禿がばれていました。

そんな折、径子が嫁ぎ先に帰ってゆくのでした。

配給はひどくなるばかりなのですが、すずはそんなことにはお構いなしに普通の日常を思いっきり生きます。

ここで、当時の食事のレシピが色々と丹念に描かれています。

そこには庶民に知恵が満載なのです。

とっておきは楠公飯なのですが、それは食事の嵩は取れるのですが、とても食べられる代物ではないほどに不味いのです。

そんな中、径子が離縁して帰ってきました。

次第に戦局は厳しさを増してくるのですが、すずは飽くまで「自然体」に日常を暮らしているのです。

そこにはすずの力強さが、生活人としての力強さがあります。

晴美は軍艦に詳しいのでした。

それはひー坊に教わったのです。

ひー坊とは径子の息子の久夫のことで、久夫は嫁ぎ先の跡取りとして置いてこざるを得なかったのでした。

そんな折、すずと周作は防空壕の入り口で口づけをしていたのですが、壕の中から周作の父親の円太郎(声:牛山茂)らが現れ、すずと周作はバツの悪い思いをします。

しかし、円太郎は夫婦は仲が良いに越したことはないと、二人に助け船を出すのでした。

径子は時計屋を営んでいたキンヤと結婚をし、家を出ていたのですが、キンヤはまもなく病死し、その後は径子がお店を切り盛りしていたのですが、姑と折り合いが悪く、建物疎開で嫁ぎ先が下関に疎開するのを機に離縁してきたのです。

ある日、段々畑から見える呉の軍港を描いていたところ、憲兵がやってきて「間諜行為」だとすずを責め立てるのでした。

長々と憲兵はすずや径子らに対して叱責するのでしたが、憲兵が今回は見逃していやるといい、憲兵が去った後に径子らは大笑いするのです。

それはすずに何を間諜するのかと、おかしくて仕方がないのでした。

ノートは憲兵に没収されるのでしたが、周作が帰ってくると周作はすずに小さなノートを渡すのでした。

それならば小さくて呉の軍港は描けないとの理由からなのです。

すずは豆腐を買ってきた帰り、晴美が蟻を見ているのに出くわします。

その蟻の行列がどこに続いているのか探ってゆくと、なんと、家の砂糖の瓶につながっていたのです。

砂糖も配給になったばかりです。

すずと晴美は蟻に砂糖が食べられないようにするには、と色々と考えた末に水瓶に桶に浮かべてみてはと思いそれをやったならば、桶に水が入って、砂糖が入った瓶が水中に落下して、砂糖はもう、台無しになってしまったのでした。

それを聞いた義母は、すずにお金を渡し、闇で砂糖を買ってくるようにといいます。

闇市は商品がいっぱいあり、また、人でごった返していたのでした。

それをすずは戦争前の夏休みと表現しています。

なんとも詩的です。

砂糖は150円と普通に買う場合の20倍の値段です。

しかし、砂糖も配給になってしまった今、これからどんどん値が上がると言われ、すずは、泣く泣く砂糖を闇で買うのでした。

しかし、帰り道、道に迷ったすずは遊郭に迷い込むのでした。

地面にスイカやキャラメルの絵を描いているとリン(声:岩井七世)という名の遊女に話しかけられ、道に迷ったことを話します。

すずはそれまでも道を何度も人に聞いたのですが、どれもちゃんと教えてくれずに遊郭に迷い込んでしまったすずは、そこが遊郭だとはわからないのでした。

リンはきちんと帰り道を教えてくれて、お礼に絵を描いてあげようとしたのですが、リンは呼ばれて「もう、こんなところに迷い込まないでね」と言い残し、遊郭に消えるのでした。

すずは周作と呉の街に繰り出します。

橋の真ん中で川を見つめながら、周作がすずが最近食が細くなってきていて心配だというと、もしや妊娠か、と思ったすずは、しかし、それが早とちりだったのです。

そんな折に、水原がすずのもとにやってきます。

水原はすずの日常を見てはなんでも大声で笑うのでした。

「そんなにおかしいかね」というすずに対して水原は、「おかしい」と答えます。

水原は周作に「死に後れるものは焦れるものですのお」と言います。

それを聞いた周作は、水原をこの家で泊めることはできないので納屋で寝るようにといいます。

そして、すずに二度と会えないかもしれないと行火(あんか)を持たせて納屋へと行かせます。

水原とすずは、納屋で積もる話をします。

「普通じゃのお」と水原。

また、「わしはどこで当たり前の人間から外されたのかのお」という水原は、すずの余りに普通な生活に安堵するのでした。

「英霊呼ばわりは勘弁じゃ」といい、すずは柔いのおといい、口づけをしようとしますが、すずは拒みます。

それは周作を愛していたからです。

それを知った水原は、もうそれ以上はすずに言い寄ることはせずに、北條の家を後にするのでした。

兄要一が戦死します。

「あっけのお人はおらんようになる」と独り言ちるすず。

20年3月19日

ラッパの音が呉に響き渡ります。

そして、敵機がやってくるのでした。

すずは弾幕で応戦するその空の様子が彩り鮮やかなので、「今絵の具があったならば」と思わず思ってしまうのでした。

遅れて、空襲警報が鳴ります。敵機が去ったところで空襲警報解除。

爆弾の破裂のために海には魚が大量に浮いています。

段々畑ですずと晴美をかばっていたお義父さんが倒れます。

しかし、それは熟睡していたのでした。

20年3月29日

このころより、空襲は絶え間なく続くようになります。

そして、周作が軍隊に入隊することになります。

お義父さんは生死がわからないまま行方不明なのでした。

三か月は戻ってこられないといい、すずに家が守れるかと問います。

周作との別れがつらいすずは、守れないと周作さんのいない家を一人で守れないとすずは周作に泣きつくのでした。

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結末:晴美死に、すず右手を失い、そして終戦

5月1日

周作が入隊する日。

名残惜しむ中、周作は出立します。

径子も下関の実家に行くといいます。

そして、生死が不明だった義父が敵機に打たれて長く意識を失ったていたのですが、意識が回復し、呉の病院にいることがわかりホッとするすずたち家族なのでした。

すずと晴美は義父が入院している病院に行きますが、そこでは敵性音楽のジャズのレコードがかけられていて、なんとものんびりとした雰囲気が流れたていたのです。

また、病室ですずらは大和の沈没を知ります。

ひとまず、病室を後にしたすずと晴美は晴美に軍港が見たいとせがまれて軍港へと行くのでした。

と、そのとき、空襲警報が鳴り、敵機の空襲が始まります。

ひとまず、共同防空壕で、難を逃れたすずと晴美でした。

ここで、爆弾の爆発時の身の守り方に言及されていて、すずの地に根を張ったかのようなたくましい生命力に返ってリアリティをもたらしています。

敵機が去り、壕から出たすずと晴美。

晴美が不発弾で壊れた塀の崩れ落ちた隙間から軍港が見渡せるの見つけて駆け寄ります。

それが運の尽きでした。

消防の人が不発弾には気をつけろとすずらに呼び掛けたのですが、それが聞こえなかったすず。

しかし、軍事教練での不発弾の恐ろしさを思い出したすずは急いでその場を離れようとしますが、時はすでに遅しで、不発弾は爆発します。

ここからの描写が秀逸なのです。

フィルムに直接傷を書き込んで作画するシネカリグラフィの手法のオマージュとしての実験的な手法が取り入れられていて、黒の背景に白色の線のみの描写で、それはまるで線香花火の輝きのような描画なのです。

すずの意識喪失の中の意識の動きが非常なリアリティを持って迫ってくるのです。

気が付いたすず。

晴美は爆死していて、すずも右手を失っています。

悔いるすずは、何度も何度も晴美のことを思います。

思っても思ってももう晴美は帰ってきません。

径子に散々責められるすず。

もしあの時と、隙あらばあの場面が頭をよぎるすずも、重傷を負っていて、義母にすずだけでも生きていてよかったといわれますが、後悔ばかりが先立つすずなのでした。

そんな中、また空襲です。

今度は焼夷弾での空襲なのでした。

北條の家の人は早く防空壕へとすずを呼ぶのでしたが、すずは焼夷弾の輝くさまをぼーっと眺めていて、また、北條の家に一発の焼夷弾が命中したのです。

しかし、それは不発弾で、ちょろちょろと燃えるだけなのでした。

はじめ、ぼんやりそのさまを眺めていたすずは、不意に我に返り、必死にその火を消そうとします。

北條家の人もやってきて皆でその火を消し止めます。

「よかった、よかった、よかった」とすずが生き残ったことに対してあらゆる場面でよかったといわれるすずは、どうよかったのかようわからんと独白します。

晴美と手をつないだ右手、周作の寝顔を描いた右手と、右手での思い出が重層的によみがえるのです。

「ウサギを描いた右手」。

そんな中、また空襲警報が鳴ります。

そこへサギが降り立ちますが、すずは、サギを広島の方へと追うのでした。

「そっち、そっち、そっち」。

サギを追宇野に夢中で、気が付くと段々畑の真ん中にいるすず。

格好の敵機の標的になるのでした。

敵機の銃撃から間一髪のところで周作に助けられるすず。

最初は周作に対して感謝するのでしたが、ぼそっと広島へ帰ると言い出し、周作との間に隙間風が吹きます。

すずの里の祭りの日、病院の日と重なってすずは帰ることができなかったのでした。

出かける支度をし、すずの髪を径子が梳かしているそのときに、何やらぴかっと光り、そして、遅れて家がガタガタと激しく震えるのでした。

外に出てみると原爆雲が黙々と立ち上っていたのです。それは広島の上空なのでした。

どうやら広島に新型爆弾が落ちたらしいのです。

それでもすずらは生活してゆかなければなりません。

「なんでも使うて生活するのがうちらの戦じゃけん」。

8月15日

玉音放送がラジオから流れます。

終戦です。

これまでのことは何だったのかと段々畑で怒りをぶつけるすず。

すずの脳裏には晴美、周作などど様々な人の顔が浮かびます。

それでも生きてゆかねばならないのです。

行列に並ぶすずは、径子に会い、何の行列と聞かれてもわからないけど今の世は何もかもが足りていないから構わないと並んでいるのです。

そして、それが進駐軍の残飯の雑炊だったのです。

それを口にしたすずと径子はその美味しさにびっくりするのでした。

「ずっとわしは笑顔の入れ物なんです」とすず。

広島の実家を訪ね、母は行方不明なことを知る。

すみは体調を崩していて、放射能の影響で青あざができている。

呉へ帰る途中、広島の焼け野原の中で周作と会うすず。

すずは呉で生きてゆく覚悟を決めます。

そして、橋の上で、すずは周作に「この世界の片隅でうちを見つけてくれてありがとう」といい、二人のきずなはさらに深まるのでした。

そして、呉へと帰るすずは、「呉はうちが選んだ場所ですけ」といい、戦後の世をたくましく生きてゆくであろめう希望が感じられつつも「この世界の片隅に」は終幕します。

そして、エンドロールでクラウドファンディングに参加してくれた人の名前が次々と流れ、「この世界の片隅に」は終わります。

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