その評価が真っ二つに分かれる米林宏昌監督のスタジオポノック長編アニメ映画第1作の「メアリと魔女の花」は、米林監督がスタジオジブリ在籍当時発表した「借りぐらしのアリエッティ」「思い出のマーニー」に次ぐ、第3作目なのです。
おしなべて、ジブリファンからは手厳しい評価の「メアリと魔女の花」ですが、それは、作品中にちりばめられた宮崎駿監督作品に見られたシーンを喚起する、つまり、宮崎駿監督作品のつぎはぎの映画ということで評価が真っ二つに分かれているのです。
また、「ハリー・ポッター」をも喚起するその内容も不評の一つなのです。
「魔法学校」に関しては後に解説しますが、「魔法学校」の生徒が全く生かされていないということに対して米林監督へのいらだちが感じられます。
それでも、あえて米林監督は解体してしまった「ジブリ」ブランドの再興をとの思いで真正面からぶち当たってもがいて作り上げたのがこの「メアリと魔女の花」のように思います。
それでは「メアリと魔女の花」のあらすじです。
ネタバレ・結末を含んでいますので、ご覧になる際はご注意ください。
メアリと魔女の花のあらすじ:序章
まず、序章として燃え上がるところから何かの「種」を持ち去って逃げる魔女のシーンで幕を上げます。
この序章は初め、見てもなんのことかわからないのですが、後々明らかになってくるのです。
逃げる魔女は最後に力尽き、ほうきで飛んでいるときに落下してしまいます。
そして、その拍子に「種」は地上にまかれ、木々が一斉に発芽・生長をはじめて、ほうきはツタに絡まれ、大木にくくりつけられます。
そして、森が一日にしてできるのでした。
起:魔女の花、夜間飛行
そして、「メアリと魔女の花」の本編が始まります。
牧歌的な風景が広がる「赤い館」に引っ越してきた赤毛の少女、メアリ・スミス(声:杉咲花)は、その赤毛の髪にコンプレックスを持っています。
メアリはテレビもゲームもない環境に置かれます。
退屈な日々。
同居人はシャーロット大おばさま(声:大竹しのぶ)と 家政婦のバンクス(声:渡辺えり)さん。
メアリは手持ち無沙汰でシャーロット大おばさまやバンクスさんのお手伝いをしようとするのですが、それはメアリの手に余るものばかりなのでした。
「今日はお天気もいいし、ピクニック日和ですよ」とバンクスさんに言われますが、窓の外に庭師のゼペティさん(声:遠藤憲一)の姿が見えて駆け出すメアリ。
しかし、ゼベティさんの花の世話に失敗するメアリは、ほうきを見つけ掃除を始めるのですが、けつまづいて葉っぱで一杯のカゴを頭から被って抜こうとしているときに男の子、ピーター(声:神木隆之介)に会います。
これは乙女にとって最悪のパターンです。
案の定喧嘩別れするメアリとピーター。
しかし、ピーターは届け物があって訪れていたので、それをバンクスさんに渡します。
赤い館が見下ろせるところで一人ピクニックをするメアリ。
そこに黒猫がやってきてランチをねだります。
「私なんか一生いいこと起こらないんだろうなあ」とひとりぐちるメアリ。
すると黒猫が森に向かって歩き出すのでした。
木の陰に黒猫が入って出てくるとそれは灰色の猫に代わっているのです。
それにびっくりしたメアリは、猫の後を追います。
すると枯れ木が散乱し下草も枯れているところに出ます。
猫は黒と灰色の二匹だったのです。
その二匹の猫が警戒するところを見ると美しい花が咲いているのでした。
さらにその花に近付くメアリに対して警戒する二匹の猫を余所にメアリはその美しい花を一茎摘んで持ち帰ったのでした。
それをゼペティさんに見せるとそれは「夜間飛行」という名の花なのでした。
夜間飛行は七年に一回しか咲かない大変珍しい花なのです。
そして、ゼペティさんから黒猫がティブ、灰色の猫がギブという名でピーターの猫ということを教えてもらいます。
夜間飛行はかつて魔女も求めたらしい「魔女の花」ともいわれています。
夜、夜間飛行は森で妖しい光を発し、霧が湧き、電気が走っていて、ティブとギブを呑み込みます。
しばらくすると、ティブのみがメアリの部屋に飛び込んできました。
ティブはすっかりと怯えています。
メアリはティブをなだめすかして一夜が過ぎます。
朝、目を覚ますとティブはいません。
そんな中、メアリはシャーロット大おばさまからことづけを頼まれて、それを快諾します。
しかし、その送り先はピーターのところなのでした。
途中で、ティブとギブを探しているピーターに会い、シャーロット大おばさまからことづけられたものを渡します。
贈られたものは木イチゴのジャムなのでした。
ピーターは大喜び。
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承:魔女学校へ
しかし、メアリはティブとギブを探しに行きます。
もしや森にいるのではないかと思ったメアリは、霧の森に入ってはいけないというシャーロット大おばさまの言いつけを破り、ずかずかと入ってゆきます。
するとティブに出会います。
ティブは夜間飛行の花を一輪くわえているのでした。
一方で、喧嘩別れはしたもののピーターはメアリが心配なのです。
そんなことなど全く知らないメアリはティブの案内で森の奥へとはいってゆきます。
昨日とは違う場所に連れて行かれていかれたメアリ。
そこには古いほうきがツタに絡まれてあったのです。
メアリはそれを引っ張り出します。
ほうきには何らかの文字が書かれていたのですが、それは読めません。
すると、ティブが夜間飛行の花をメアリに投げ渡し、それ手で受け取ったメアリ。
夜間飛行の花はたちまちどろりとした液体に変わり、メアリの両手にくっつき、光を発してメアリの両手に吸い込まれてゆくのでした。
突然、ほうきが動き出します。
それを掴まえようとしがみつくメアリ。
一旦動きを止めたほうきに乗っているメアリは、ふわりふわりと浮き出し、ティブもほうきに乗り、急速に速度を上げて上昇します。
雲を突き破るほうき。
目の前には巨大な入道雲があります。
その中に突っ込むメアリ。
すると目の前には不思議な陸地が広がっていたのでした。
メアリは夢を見ているんだと思うのですが、起きていることはとてもリアルなのです。
と、ほうきは乱暴な降り方でほうきが置かれててあるところに降ります。
ほうき置き場を管理しているフラナガン(声:佐藤二朗)がやってきます。
メアリを新入生と思い、また、ティブを「使い魔」とみなして、学舎の門まで連れて行きます。
ほうき置き場から門までの道のりは岩に板を打ち付けただけのもので、とても危険なものなのですが、メアリは難なく歩いてしまうのでした。
ジブリファンにはこの箇所の描写が物足りないと不評なのです。
話を戻すと、そこは「エンドア大学」という魔法学校なのでした。
その校則第一項に「不法侵入者は変身の刑に処す」とあったのです。
フラナガンが姿を消すと正門が開きました。
おずおずと中へ入ったメアリは、そこで異形のものたちを見ます。
噴水の前まで行くと水が、校長の姿に変わります。
「新入生ですね」と校長がいうと、メアリは仕方なく「新入生です」といい、「結構、結構ですよ」と校長はいい、噴水が元に戻り、そして、噴水の中から校長室が浮かび上がってくるのでした。
校長の名はマダム・マンブルチューク(声:天海祐希)でエンドア大学は最高の魔法学校といいます。
校長直々メアリは校内を案内されます。
それはメアリのことを百年に一人の天才と思い込んでいるからなのです。
「古今東西赤毛の魔女は優秀な魔女に決まっている」。
途中、魔法科学者のドクター・デイ(声:小日向文世)に会い、ドクターも一緒に校内を巡るのでした。
最高学年の授業が行われている講義室にやってきたメアリたちですが、しかし、そこに誰もいないのです。
と、校長の合図で一斉に生徒が姿を現します。
姿を消す魔法の練習が行われていたのでした。
メアリにやってみなさいと校長がいい、水晶玉を渡されたメアリは、神経を集中させて行くと次第に姿を消してゆき、と同時に黒い霧が湧き出してきて、それはつむじ風となったのでした。
はっと気づきティブを見ると飛ばされそうになっているので、メアリは魔法をやめてティブを助けるのでした。
一通り校内を見終わったメアリたちは白い霧に乗って、ドクターが変身魔法の実験をしている金庫室の前にやってきます。
すると霧は消えて、メアリたちは地に降り立ちます。
ドクターが金庫室に入ろうとするとティブが金庫室に入ろうとしますが、ドクターに捕まり、メアリの元に戻されます。
そして、金庫室からは何かにの方向が聞こえてきます。
ドクターはいいます、「あまたの研究は失敗の上に成り立っている」「失敗!」とメアリがいい、「その通り! 失敗も結果なり」とドクターが答えます。
メアリは校長室に入ります。
校長が願書を探している間、二階で魔法の技の数々を見るようにと言われて、二階に上がり、そこで夜間飛行が描かれた壁掛けを見つけたのでした。
メアリが手を伸ばすと壁掛けの扉が開き、その中に魔本の呪文が書かれてある『呪文の神髄』という本があり、メアリはそれを手にするのでした。
メアリに不審を感じた校長はメアリが持っているものを出しなさいといい、メアリはピーターのことづけのときに渡されたピーターの住所が書かれてあるメモを渡すのでした。
入学願書を受け取ったメアリはほうきに乗って帰ろうとするのですが、ティブはなかなかほうきに乗ろうとしなかったのです。
何か未練があるようなのですが、結局はティブもほうきに乗りメアリたちは何事もなかったかのように帰っていきました。
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転:ピーター、捕らわれる
しかし、校長はほうきに何か思い当たる節があり、「あの子は花のありかを知っているわ」といい、メアリから渡されたメモを蝶に変え、放ったのでした。
メアリの帰りを心配して待っていたシャーロット大おばさまは、メアリの姿を見るとホッとし、しかし、ピーターがいなくなったことをメアリに話すのでした。
森の入り口にピーターの自転車があったのです。
メアリのもとにティブがやってきて、そして、あの蝶がメアリの部屋に飛び込んできたのでした。
蝶は水に変わり、そして、それが校長の姿に変わり、メアリにピーターがとらわれていることと、ピーターと引き換えに魔法の花を持ってくることをいい、校長は姿を消すのでした。
後にはメアリが校長に渡したメモが残されるのでした。
「私のせいだ」とメアリは夜間飛行を持ってエンドア大学へ再び向かいます。
シャーロット大おばさまは、メアリが飛び去った後に夜間飛行の花が一輪落ちているのを見つけます。
エンドア大学に着いたメアリ。
校長は魔法の花を手に入れるとメアリを捕らえて、金庫室へと連れてゆき、監禁するのでした。
金庫室の中は異形の生き物たちでいっぱいなのです。
これがドクターがいっていた実験の失敗なのでした。
ティブが変身魔法の研究で失敗し、異形のものへと姿を変えていたギブを見つけて、メアリがそれがギブだと知るのでした。
と、突然ピーターが襲い掛かってきてたのですが、それがメアリだと知ると襲うのをやめるのでした。
メアリは泣いてしまいます。
一方、校長室では校長とドクターが夜間飛行を前にして変身魔法のことを話しているのでした。
金庫室ではピーターがメアリに「一緒に帰ろうな」といい、それに元気づいたメアリは、『呪文の神髄』を取り出して、すべての魔法を解く呪文のページを探し当て、そのページに手を当てて、魔法を解くのでした。
ここもジブリファンから不評を買っている場面で、「天空の城 ラピュタ」でシータとパズーが破壊の呪文を唱えたときの衝撃には足元にも及ばないと、宮崎駿監督と比べられるのです。
つらいところですね。
話を戻すと、すると異形のものは元の生物に戻り、扉の魔法も解けるのでした。
金庫室からは動物たちが一斉にあふれ出し、メアリとピーターは動物たちが向かう方へと向かうのでした。
そして、落差が10メートルはあろうと思われるところへ来て飛び降りられずにいたところ、ほうきがやってきてピーターと逃げようとした瞬間校長の魔の手が伸びてきてピーターは捕らえられてしまうのです。
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結末:変身魔法の実験の失敗、みんなでの帰還
ピーターは一人で逃げろとメアリがつかんでいた手を放してしまうのでした。
ピーターは再び金庫室へと連れてゆかれ、メアリはほうきの赴くままに飛んでいるのです。
やがて、メアリは孤島の家へと連れてゆかれ、「おかえりなさい、お嬢様」と炎の化身にいわれて、家へと案内されるのでした。
その家は素敵な家なのです。
その家の中の部屋には校長とドクターの若かりし頃の写真が飾られていて、変身魔法の実験ノートが置かれてあるのでした。
すると鏡がメアリに呼びかけるのです。
それはシャーロット大おばさまなのでした。
シャーロット大おばさまは、昔の話をします。
校長とドクターは昔はいい教師なのでしたが、夜間飛行を見つけてから変わってしまったのでした。
あの花を使ってあらゆる魔法が使える魔法使いを生み出そうと実験を繰り返すようになり、校長とドクターはそれに取り憑かれたように夢中になるのでした。
そして、実験は失敗に終わり、暴発してしまったのです。
そこで、若かりしシャーロットはあの花の種を持ち出して逃げようとしたのでした。
校長とドクターは相変わらず昔のまま、自分の思い通りになる魔法使いを生み出そうという欲望を抱いたままなのです。
校長とドクターにあの花が渡ってしまっていたならば、ピーターが実験体になるのです。
「メアリ、鏡に手を当てて」とシャーロット大おばさまはいい、メアリがそうするとシャーロット大おばさまから夜間飛行の最後の一輪を渡されるのでした。
メアリは、しかし、ピーターを残しては帰れず、シャーロット大おばさまに必ず赤い館に帰ります、といってピーターを助けようと飛び出すのでしたが、しかし、校長が追ってきていて、校長の魔法のどろりとした黒い大きな手が伸びてきてメアリの鞄を奪うのでした。
そして、校長は空飛ぶ下僕を放ってメアリを追い回し、メアリを消耗させようとするのでした。
すでに実験は始まっていました。
落下を始めたメアリ。
魔法の花の印が手のひらから消えます。
地に落ちたメアリをティブが呼びます。
するとほうきが折れていて、メアリは泣き、その涙がほうきの折れた箇所にかかるとほうきは少しだけ飛んだのですが、長続きはせずに、地に落ちてしまうのでした。
しかし、メアリはその心意気に感じ入り、みんなで帰ろうと約束したんだからね、と立ち上がったのです。
そして、歩くメアリを大鷹がつかみ鹿の背中に乗せ、やがてその鹿を先頭にドクターの魔法が解けた動物たちが群れをなしてメアリをエンドア大学へと連れて行くのでした。
実験の最中にエンドア大学へやってきたメアリ。
そこにギブがいて、木の中で実験が行われているのを知らせるのでした。
夜間飛行の花があり、いざ、変身魔法の実験が始まったのです。
案の定、ピーターが実験体でした。「やめてー!」と叫ぶメアリ。
実験はまたもや失敗に終わり、暴走を始めたのです。
次々と破壊されてゆく機器。
校長はメアリから取り返した『呪文の神髄』で全ての呪文を解こうとして、それが書かれたページを探している内に暴走した実験体に魔法を吸い取られてしまうのです。
異物とかした中から頭を出したピーターがメアリに「逃げろ」といいますが、メアリはピーターが今、魔法が使えることに気づき、『呪文の神髄』の魔法を全て解くページにピーターの手を触れさせようと、ピーターに手を伸ばしてというのでした。
ページにピーターの手が届きます。
魔法の呪文は全て解けました。
「魔法なんか要らない」とメアリはいいます。
やがてピーターが元に戻ります。
そして、ほうきはフラナガンによって直されていたのでした。ほうきに乗ってメアリとピーターとティブとギブは赤い館へ帰るのです。
途中、ピーターがメアリの髪に夜間飛行の花一輪が付いているのを見つけますが、もう必要ないとそれを投げ捨ててしまいます。
ここでSEKAI NO OWARIのテーマ曲が流れます。
赤い館に戻ったメアリ。
そこには普通の日常が待っていたのです。
しかし、メアリは今ではそれがどんなに慈しむべきことかを知っているのです。
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